ぼっちQ&A!~ひとりぼっちの地球侵略感想ブログ~

月刊少年サンデー『ゲッサン』にて好評連載中の漫画『ひとりぼっちの地球侵略』について、徒然なるままに感想を書いていくブログです。

ひとりぼっちの地球侵略10巻の細かい部分を考察してみた。【書き途中】

※この記事は書き途中です。近日完成予定。

こんにちは、さいむです。

 

今回は、『ひとりぼっちの地球侵略』10巻について、色々と細かい部分について考えていきたいと思います。前回がざっくりまとめだったので、その逆というわけです。

 

10巻に関してはざっくりまとめでの感想が既にありますので、まずはそちらを読んでからこちらをお読みください。

thursdayman.hatenablog.com

 

1.大鳥先輩とマーヤ、凪(ゾキ)とアイラの対比構造。

前回のざっくりまとめでも書いた通り、大鳥先輩とマーヤの戦闘シーンにおいてお互いが重なるように描かれています。これは大鳥先輩がマーヤを理解するきっかけになっていくのですが、これと呼応するように実は凪(ゾキ)とアイラにも対比構造が生まれていることを今回は書いていこうと思います。

……が、その前にまずは大鳥先輩とマーヤの関係についても補足をしておきたいと思います。特に戦闘シーンの前半部分の会話についてです。

まずは58Pからの二人の会話。ここではマーヤが大鳥先輩を憎む理由が自身の口から語られます。マーヤは自分が大鳥先輩のために使い捨てられた命であることを恨んでいるわけですが、重要なのは大鳥先輩とマーヤの間に、明確に異なる部分があるということです。マーヤは自分が不完全であることの根拠としてその身長を挙げています。見た目はそっくりな二人ですが、マーヤは自分がただ一人の存在となるために、大鳥先輩と自分とは違う存在だということを強く主張しているのです。

そして103Pでのオルベリオ語の解説のシーン。大鳥先輩とマーヤは使っている言葉が違っていることがここで明かされ、マーヤはその独自のオルベリオ語で大鳥先輩を倒すことに執着します。自分は大鳥先輩とは違うという主張の繰り返しです。これらの描写を前回のまとめの内容も踏まえて考えると、マーヤは憎い大鳥先輩と自分が同一の存在であることを否定しようとし、一方で少しでもマーヤを理解したい大鳥先輩はお互いの共通点を必死で探ろうとしていたことが分かると思います。マーヤと大鳥先輩の戦いは、お互いがそれぞれ求めた決別理解とを巡る戦いでもあったのです。

 

さて、大鳥先輩とマーヤの関係について補足したところでいよいよ凪(ゾキ)とアイラの対比構造についてです。最初に10巻における二人の共通点をサッと挙げてみましょう。まず、凪の右腕にはゾキがいるわけですが、今回はアイラにもアイラの祖母が乗り移るという場面がありました。お互いに別の存在が乗り移るという点でまず共通点が一つあると言えるでしょう。また、ゾキがマーヤを騙して兵士を増やそうとしていたのと同様に、アイラも龍介や岬一の祖父を騙して凪が入院しているようにみせかけています。誰かをだますというこの点においても二人は共通しています

他にも共通点は幾つかありますが一度この辺りにしておいて、次にその意図へと話を進めます。先に結論を言ってしまえば二人を対比させやすくするためなのですが、ではその対比とは具体的にどのようなものなのか。二人の描写をそれぞれ細かく追って調べてみましょう。

まずは凪(ゾキ)からです。(ゾキ)と書いていますが、凪は現時点でゾキとの関係が不明なので両者が協力している可能性も考慮して一緒に見ていきます。

 ゾキの目的はオルベリオの血に支配されている現状を変える力を手に入れることです。ゾキは王の弟として生まれたことや、オルベリオの傀儡であるゴズの血を憎んでいる側面があったのでしょう。血統への反抗と言ってもいいかもしれません。

 一方で凪も、岬一のように祖父の後を継ぐことはせずのんびり過ごしたいということを回想で語っています。ゾキ程の反抗心はありませんが、彼もまた血を受け継かないという立場の人間なのです。凪とゾキは生まれ持って受け継いできた血に抗うという姿勢が一致しているのです。

続いてアイラです。彼女はビシャホラを壊され大怪我をしたことで自信を無くしていましたが、母イリナの言葉で自分が日本に来たきっかけを思い出し、元気を取り戻します。ビシャホラのことは忘れてあげよう。大事なのはこのきっかけです。元気いっぱいのアイラと共に、サバーチカがエラメアの力を後継した証であることが説明されています。そう、アイラは血を継いでいくことを受け入れた人間なのです。

ここで、凪(ゾキ)とアイラを「血を否定するか受け継いでいくか」という観点から対比することが可能になります。大鳥先輩とマーヤとの直接対決が増えていく中で、凪とアイラの間でもこのような構造が10巻ではいつの間にかできていたのです。先ほどの共通点も、この対比構造をハッキリさせるための工夫だったと考えられます。

 紹介記事をはじめ今までの感想記事でも繰り返し書いてきたことですが、ぼっち侵略は許すことをテーマに作られた作品です。そのためには自分にどのような血が流れていても、それを受け入れて(許して)前に進んでいくことが必要なのです。今回の対比構造は、そうした作品のテーマを今までとは異なる角度から掘り下げているのです。

2.大鳥先輩とマーヤの「オリジナル」の話。

10巻では、マーヤがこんなことを話していました。

 

「少し性格が違っていたり、ほくろの位置が違ったり!

 それだけの理由で私達は捨てられた!

 その点お前は完璧だったよ…

 オリジナルと呼んでいいほどに完璧に作られたんだ。」

 

59~62Pにかけての長い台詞ですが一部抜粋しました。大鳥先輩がマーヤ達143人の犠牲の末に生まれた完成品という話ですが、これ自体は6巻の頃からマーヤによって繰り返し語られ続けてきたことではあります。例えば、7巻では先代のオルベリオ王が144代目(10巻に登場した年老いた王)であったことも明かされています。この144代というのは、大鳥先輩とその試作品が計144人作られているのと関係があるのかないのか、とまぁこんな風に色々考えられる設定は既に幾つか配置されています。

ではこの台詞の何が問題なのか。重要なのは「オリジナル」という言葉です。この一言によって、大鳥先輩やマーヤに元になった存在がいることが判明したからです。そのオリジナルが何なのかは現状不明ですが、先の144代という数字の一致等と併せて考えると想像が捗りそうな設定ではありますね。

思い返せば、8巻ではヘントゥーリオが広瀬くんの問いに対してこんな返事を返しています。

 

「この星の…アルシャの安らぎのために…」

 

更に遡れば、5巻では大鳥先輩がこんなことを。

 

「結局、記憶という無形のものは存在の証明について何の証拠にもならない。でもこの星が続く限りずっと強い思いで覚えている「存在」が他にもいる…そこからこぼれだした記憶の欠片。この子は「ほしのきおく」になった。」

 

どうやら、地球という星には何かがいるようです。4巻の過去編で大鳥先輩が"王様"に「ほしのきおく」を返したり、港を開くお願いを"王様"にしているシーンもありますが、恐らくこれ自体は王様のかけた魔法に対してのものでしょうからここは外しておきました。

その王様に関しては、7巻においてアイラのお婆ちゃんから詳細が語られています。若い頃に地球に一人でやって来て、一人で港の魔法をかけ、地球を封鎖したこと。その後オルベリオの144代の王となり銀河を掌握したことなどが説明されていました。少し気になるのは、何故銀河を掌握できるほどに強い力を持った王がその前にわざわざ地球にやって来たか、ということです。元から強い力を持っていたのなら地球に出向く必要もありませんし、地球を一人で封鎖する手間をかけることもありません。

仮説の一つとして考えられるのは、王様は元々強大な力を持っていたわけではなく、地球に一人でやって来た際に"何か"を発見し、それを元にしてオルベリオの帝国を築いた、ということです。そしてその"何か"は、大鳥先輩やマーヤの「オリジナル」に由来するもの、あるいは「オリジナル」の存在そのものである可能性もあります。そう考えると大鳥先輩やマーヤがある「オリジナル」を元にしなければならなかった理由も少しずつ繋がってきます。怒涛の展開が続くぼっち侵略ですが、この「オリジナル」の正体と役割を巡って更なるどんでん返しがあるかもしれませんね。

勿論仮説の範疇ですし、この辺りの詳細は作品の今後を待たねばなりませんが、マーヤの登場を基点として4、5巻から積み重ねてきた設定の数々がようやくその全貌を現そうとしていることも確かです。楽しみに待ちましょう。

3.今回のオマージュ:『風の谷のナウシカ』より巨神兵

※ぼっち侵略における10巻以前のオマージュに関してはこちらの記事よりどうぞ。

thursdayman.hatenablog.com

ぼっち侵略には様々な作品のオマージュがちりばめられているということは私がこのブログで何度か書いてきたことですが、実は9巻にはそれらしいものを現在に至るも見つけられていません。「小川先生、オマージュやめちゃったのかな……?」と思っていたのですが、10巻で久々に出てきましたね。広瀬くんとリコを苦しめたゴズの制圧型純戦闘兵が、『風の谷のナウシカ』に登場した巨神兵のオマージュになっています。

具体的な箇所を挙げていきましょう。77、8Pの光線の発射、これは巨神兵プロトンビームを発射して王蟲を薙ぎ払うシーンのオマージュですね。広瀬くんが放たれた光線に驚くコマまでが、丁寧にクロトワに似せてあります。

125Pからは、一度倒された制圧型純戦闘兵がドロドロに溶けながらも立ち上がりますが、これも同様に巨神兵のオマージュになっています。覚醒が早すぎたためにドロドロに溶けていく巨神兵そっくりです。ゴズのトレードマークである仮面が剥がれて中からむき出しの目玉がギョロギョロと覗く姿もどこか巨神兵を思わせます。

これらのオマージュの意図ですが、この巨神兵のシーンの原画を担当したのは『新世紀エヴァンゲリオン』の監督である庵野秀明です。エヴァに関しては小川先生は既刊で大量にオマージュをしてきたので、監督繋がりで巨神兵もオマージュに採用したのでしょう。10巻でのオマージュは現状この一つだけになります。

 

 ※この記事は書き途中です。続きはまた後日書きます。お楽しみに。