ぼっちQ&A!~ひとりぼっちの地球侵略感想ブログ~

月刊少年サンデー『ゲッサン』にて好評連載中の漫画『ひとりぼっちの地球侵略』について、徒然なるままに感想を書いていくブログです。

2013年、マチアソビのゲッサンブースで行われた『ひとりぼっちの地球侵略』サイン会の思い出を振り返ろう。

突然ですが、2015年12月4日から17日までひとりぼっちの地球侵略の電子書籍版を3巻まで無料で読めるキャンペーンが今開催されているのはご存じでしょうか。

seiga.nicovideo.jp

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電子書籍をお持ちの方はAMAZONから、そうでない方はニコニコ静画からご覧になれます。3巻まで読めるのでこの機会に是非!

 

……という話だけで終わりでは何か味気ないですよね。私もこれを機に3巻までの内容で話せることは何かないかと考えました。

 

というわけで、今回は2013年10月に開催されたマチアソビvol.11にて行われた小川麻衣子先生のサイン会のことを色々振り返りつつ話したいと思います。

……。いや、2年前じゃん!!今更何を書こうとしてるの!?

と突っ込まれたそこのあなた。その指摘はごもっともです。ただ、今回のサイン会の全貌をお伝えするには、実は諸事情あってこれぐらいの時間を待たなければならなかったのです。一つには私の勘違い、もう一つにはゲッサンで連載されている横山裕二先生の漫画『ツール・ド・本屋さん』3巻(2015年9月11日発売)が関係してくるのですが……話ながら説明していくとしましょう。

それでは、ツール・ド・本屋さん3巻のリンクを貼りつつ、始まります。

※『ツール・ド・本屋さん』にはこのサイン会の様子が細かく描かれているので、読んでおくと”色々な意味で”更に楽しめること間違いなしです。是非購入をお勧めします。

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⒈サイン会は突然に

 

「小川先生のサイン会!?」

2年前、ぼっち侵略4巻発売を今か今かと待ち構えていた当時の私は、突然の発表に驚きました。

そのときのゲッサンブログやコミックナタリーの記事がこちらになります。

comshoblog.shogakukan.co.jp

 

natalie.mu

少し解説すると、ゲッサンは以前からマチアソビに参加して作家さんのサイン会を開催するということをされていて、vol.11ではぼっち侵略の小川麻衣子先生、そしてボードゲームを主題にした漫画『放課後さいころ倶楽部』の作者中道裕大先生のサイン会が開かれることになったのです。

小川先生初のサイン会です。行かない理由はどこにもない……筈でした。しかし場所は徳島。おまけにアニメのビッグイベントマチアソビの最中に開催とあって今から宿を取るのも難しい。流石にちょっと……と尻込みしかけました。

しかし、マチアソビvol.11について調べてみた私はサイン会の前日にとんでもないイベントが開かれているのを発見してしまいます。

「なっ……庵野監督と幾原監督のトークショー!?」

なんとサイン会の前日に『幾原邦彦の世界』と題されたトークショーがあったのです。ゲストは庵野秀明。ぼっち侵略のサイン会の前日に『少女革命ウテナ』と『新世紀エヴァンゲリオン』の監督のトークショーがあるという驚異の偶然が発生したのです。

何がどう驚異なのかという話をすると長くなるので、私が以前書いたブログを貼っておきますが、

thursdayman.hatenablog.com

簡単に言うと「ぼっち侵略にはウテナエヴァのオマージュがしこたま施されている」のです。そのぼっち侵略のサイン会の前日にオマージュ元の両作品の監督が同じ場所でトークショーをやる。これを運命と呼ばずしてなんと呼ぶのか!

「こんなもの……こんなもの、行かずにいられるかあああああああ!!」

と叫んだ私はマチアソビの会場からはやや離れているもののなんとか宿を確保し、ぼっち侵略サイン会に参加することにしたのでした。

小川先生のサイン会は日曜2時に開催されることになっていたので、土曜に徳島に到着して『幾原邦彦の世界』に参加、日曜にサイン会に参加してそのまま東京に戻るという計画を立てました。割と新幹線のスケジュールがギリギリで、「本当に乗り換えミスらないで旅を終えられるかな……」と心配になっていましたが、あのときの私はまさか最終的にこの一人旅があんなことになるとは思ってもいなかったのです……。

 

2.いざマチアソビ!

 

そんなわけで、10月12日(土)。コンビニでその日に発売されたゲッサン2013年11月号を買いつつ、東京から新幹線に乗って徳島まで。昼過ぎに到着してマチアソビに向かいました。初日は眉毛山山頂にて開催されたトークショー『幾原邦彦の世界』を観に行きました。撮影禁止だったので写真は残っていません。トークショー自体の感想も、他の幾原監督ファンの方が書かれた2年前の記事の方がずっとしっかりしていますから必要ないでしょう。

私はステージの前の方で庵野監督と幾原監督を生で観ていました。庵野監督は写真で見た通りの顔の方で、幾原監督は思っていたよりも更に若々しく見える方でした。そしてトークショーを楽しみつつ、「もしかしたら小川先生もこの会場に……?」と思ってキョロキョロ辺りを見回したりしていましたが、残念ながらこのとき小川先生は仕事がお忙しかったようでサイン会当日まで徳島には来られませんでした(『ツール・ド・本屋さん』3巻81P参照)。

トークショー後は眉毛山をロープウェイで下山、同じくトークショーを見に来られていたTwitterの相互フォロワーさんと食事会等を楽しみつつ土曜の夜を楽しみ、11時頃ホテルにチェックインして就寝しました。早朝から東京を出発して最後までノンストップだったので大変疲れていたのを覚えています。

ちなみに1日目にゲッサンブースに一足早く向かってもみましたが、まだそこまで大きな準備はできていませんでした。ただ『ひとりぼっちの地球侵略』3巻の表紙の拡大ポスターがブースに貼られていたので、それを撮影した写真がまだ手元に残っています。

 

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懐かしいですね。「ここに小川先生が来られるのか……どんな方なのだろう……」と当時はドキドキしていました。

そんなこんなで、いよいよ問題の2日目に突入していきます。

 

3.小川麻衣子先生

 

2日目、朝8時起床。『ドキドキ!プリキュア』を観た後ホテルをチェックアウト。徳島駅に戻ります。

この日は小川先生のサイン会だけに狙いを絞っていたので、他のイベントに参加する気などさらさらありません。よって10時頃にゲッサンブースに到着後、そこでひたすら待機していました。

流石に10時ではまだゲッサン編集部の方もいらっしゃらずブースはガラガラ。しかしながら他に用もありませんし、もしかしたらサイン会を待たず小川先生にお会いできるチャンスかもしれないので、のんびりとゲッサンを読みつつ待っていることにしました。

ちなみにゲッサンブースは徳島駅横のポッポ街にある本屋『南海ブックス』さんが提供した商店街の一角にありました。隣のスペースではゲッサンとは別の漫画雑誌『ハルタ』さんがあり、合同サイン会の形式になっています。

30分ほど待機していた頃でしょうか、物凄く大きな人に率いられた集団が ポッポ街の向こうからやってきました。まさに巨漢という言葉が相応しいその方は、そう、ゲッサン編集長(当時)市原武法さんでした。身長185㎝、体重135㎏(『ツール・ド・本屋さん』3巻参照)!私の体がすっぽり入るのではないかという大きさでひたすら圧倒されてしまいました。

市原編集長はゲッサンブースにまっすぐやってこられると、すぐに私に話しかけてくださいました。まぁ早朝からまだ誰もいない筈のゲッサンブース前でゲッサン片手に待ち構えている人なんて、まず間違いなくサイン会目当てでしょうから当然と言えば当然なのですが……w

「あ、サイン会参加の方ですか?」

「は、はい!」

私、気おされながら慌てて返事。

「どなたの……」

小川麻衣子先生のサイン会です!」

すると市原編集長、後ろを振り返って「小川先生、サイン会参加の方が来てますよ」と言うではありませんか。

うわ、予想はしてたけど本当にサイン会前にお会いできるなんて!?どうしよう、どんな方なんだ……!?

緊張する私の前に、いよいよ『ひとりぼっちの地球侵略』作者、小川麻衣子先生が姿を現します……!

 

小山助学館さんの当時の記事に小川先生の似顔絵が4コマに描かれていたのでそちらをリンクで貼らせて頂きます。

koyamajyogakukan.com

こちらのイラストではショートヘアーでストールがトレードマークといった可愛らしい姿で描かれております。実際のご本人も勿論そうだったのですが、それだけでもありません。

まずこのとき小川先生はパーカーを着ていらっしゃったのですが、お腹に付いているトンネル状のポケットに様々な文房具を詰め込んでおられ、そのためポケットが筆箱の如く真四角にズンと沈んでいました。

「……!」

そしてこう、なんというか、体の重心が一歩踏み出すごとに右へ左へゆらりゆらりと揺れています。ニコニコ笑いながらそのようにふらふら歩いてこられたので思わず

(……ペンギンみたいな方だ……)

という言葉が頭に浮かんでしまいました。今まで頑張って1年読みこんできた物凄く作り込まれてる漫画の作者はこんなに可愛らしい……というよりふわふわな方だったのか……と驚いたのを今でも覚えています。

「こんにちは」

「いえ、宜しくお願いします」

そんな風に軽く挨拶をしたところで市原編集長の指示でゲッサンブースの設営準備に。私もブースから少し離れて設営が完了するのを待つことにしました。

(思っていたよりも柔らかい感じの方だったな……)

と、設営の様子を眺めつつ考えていた私だったのですが、この後小川先生の凄さの片鱗を目の当たりにすることになるのです。もっとも、それに私が気づいたのはそれから1年も後のことだったわけですが……。 

 

4.横山裕二先生と『ツール・ド・本屋さん』

※ここからの4章と5章は『ツール・ド・本屋さん』3巻と一緒に読むと更に楽しめる……かもしれません。 

 

さて、大体10時過ぎ頃に最初に設営が終わったのは横山裕二先生(『ツール・ド・本屋さん』3巻82P参照)。私はずっと待っていたので『ツール・ド・本屋さん』2巻を購入後、一番にサインを頂きに行きました。えー、ちょうど『ツール・ド・本屋さん』3巻82P3コマ目ですね。これです。設営完了したとほぼ同時に買いに行ったので多分これ私です……w

その一番最初に頂いたサインがこちら。『ツール・ド・本屋さん』2巻の見返しの部分です。

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サインを頂くと、更に横山先生はブースに沢山取り付けてあった手描きPOPの中から一つ下さるというので私は色々見て回った後、横山先生が自転車に乗って走っているPOPを頂くことにしました。

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このPOPにした理由はただ一つ、「これしか横山先生が笑っているイラストがなかったから」ですw 

しかしまぁ、今『ツール・ド・本屋さん』3巻で当時のことを見返していると、設営直後に行ったのは横山先生のネタ潰しになってしまったのではないか? という疑問が拭えなくもないですね……w私が行かない方が漫画的にはむしろ良かったのかもしれません……いや、流石にそうでもないのかな?

それはさておき、横山先生からサインとPOPを頂いた私はその隣で始まろうとしていた中道先生のボードゲーム会に向かいました。

 

5.激戦! ガイスター! そしてこれはどう見ても私……(汗)。

 

中道先生のサイン会は3時から。私は帰りの時間的に参加することができないのでサインを頂くことができません。しかし、このボードゲーム会ならばまだチャンスがあります。というのも、ここで行われるボードゲーム会で中道先生に勝利することができれば、中道先生サイン入りのボードゲームを一つ頂くことができるのです! 勿論勝てなければダメなので、全力で挑ませて頂きました。

ボードゲーム部屋に行くと、やはりこちらでも一番乗りでした。他に人はいません。前準備として『放課後さいころ倶楽部』を購入していた私は中道先生に話しかけました。

中道先生は気さくな方で、すぐに遊ばせて頂けることに。部屋には幾つかのボードゲームがありましたが、他の人がまだいないことも踏まえ私は『ガイスター』を選択しました。1対1で戦う将棋型のボードゲームです。『放課後さいころ倶楽部』にも登場したゲムで、一度プレイしてみたいと思っていたこともあり選択しました。

 

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ルールは簡単。お互いに相手からは見えない青と赤のマークがそれぞれ入った4体ずつ、計8体の幽霊を将棋に似た盤の上で一つずつ動かしていきます。相手の幽霊は自分の幽霊で取ることができます。こちらの青の幽霊を相手側の四隅のどちらかからゴールさせるか、こちらの赤の幽霊を相手に4体取らせれば勝利です。また相手の青の幽霊を4つ全て取ってゴールできなくさせても勝ちになります。詳しくは『放課後さいころ倶楽部』2巻を読みましょう!

早速ゲーム開始。私は青の幽霊を前に配置してドンドン攻めさせる戦法で挑みました。中道先生が攻め始めるよりも先に突撃し、いきなり青の幽霊を2つ奪います。逆に攻めてくる中道先生の幽霊を赤の幽霊で遮り、まんまと赤の幽霊を取らせることに成功。ここまで完全に私のペースです。中道先生の顔に焦りの色が見えてきます。

しかしここからがガイスターの怖い所。青の幽霊を奪えば奪うほど残りの青の幽霊を奪うのは難しくなり、赤の幽霊を掴みやすくなってしまいます。そこでこちらの攻めが止まると中道先生の逆襲がスタート。赤の幽霊を連続で取らせ過ぎたため守りが手薄になり過ぎた私は、仕方なく青を取らせて攻めを防ぐしかありません。ゴール間際まで近寄って来た幽霊を取るとこれもなんと赤。こちらの速攻に対し中道先生は相手の裏をかく戦法でじわじわと追い上げていきます。

あっという間に状況は膠着し、残った幽霊を一つずつつぶし合う展開に。気付けばゲームは終盤。お互いのゴール間近に敵味方の幽霊が1体ずつ、どちらかが青か赤というギリギリの状況にまで縺れ込みました。青を取ればこちらの勝ち。赤を取ったらこちらの負け。相手にゴールされたら負けなのでこちらのゴールを赤で守っていますが、もしも今ゴール前に来ているこの幽霊が赤だったらこちらから取った瞬間私の負けです。

中道先生側のゴール間近まで迫った私の最後の青の幽霊の隣に、中道先生が幽霊を動かしてきました。最後の読み合いです。今攻めているのは最後の青の幽霊なのでこれが取られたら私の負けです。取るか逃げるかしかありませんが、逃げてしまうとこの幽霊が青だとばれて読み合いが苦しくなります。中道先生が持つ幽霊の一体もこちらのゴール付近まで来ているこの状況、この幽霊を逃した後2体で両隅のゴールを狙われたら防ぎようがありません。

どうする……取るか……逃げるか……。私の幽霊に詰め寄ったこの幽霊は赤か青か……。

たまらず長考に入る私。ふと回りを見渡すと接戦続きのこのゲームを他の人も見物していました。横山先生も覗きに来られています。

ええ、『ツール・ド・本屋さん』3巻83P6~8コマ目ですね。これです。

これもお前かよ!! というツッコミが入るかと思われますが、冷静に当時の状況を振り返るに、この後はお客さんがたくさん来たので複数人で遊ぶゲームでほとんど対戦するようになっていったんですよね。ガイスターで1対1という状況はほぼなかったと思います。また『ツール・ド・本屋さん』3巻内での時系列的にも横山先生のサインを頂いた後すぐにボードゲーム会に向かったのでここのガイスターは私と中道先生の一騎打ち時のものでしょう。

何より、その、8コマ目の眼鏡かけた青年が私っぽい…………。確かにあのときこういう恰好してました……はい……。

ゲッサンでこの話が連載された当時は「うわー!これまんま私だー!」と大いにテンパってオロオロしていました。今年の9月に3巻が出たのでやっとこうして話題にできたというわけです。いやぁ長かった。

さて、ゲームに戻ると、長考を終えた私はようやく青の幽霊に手を伸ばしました。

守っていてはダメだ。最後まで攻める!!

ガッと中道先生側のゴールを守る幽霊を掴み取ります!

…………青!!

なんとこちらに攻めてきた最後の幽霊は、赤、ブラフでした。こちらが逃げて相手の攻めている幽霊を取っていたら私の負けになるところでした……。

私の勝利です。最後まで攻め続けた私が、裏をかこうとした中道先生の猛追をギリギリで躱し切った形になりました。

サイン入りのゲームを一つ頂けるということで、私は『ごきぶりポーカー』を頂くことにしました。ガイスターと同じく読み合いの激しいゲーム繋がりです。

箱の裏に書いて頂けたサインがこちらになります。

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こうして小川先生以外のお二方のサインもゲットできました。後は小川先生のサイン会を待つのみです。

 

 6.サイン会までのんびりと

 

サイン会参加のために、私はボードゲーム会を離れた私はまず『ひとりぼっちの地球侵略』1巻を買いに行きました。今回のサイン会はぼっち侵略1巻の見返し部分にサインを書いて頂けるという形式なので、南海ブックスで買わなければなりません。

1巻を買うと、なんとマチアソビ限定ペーパーがついてきました。傘を差した大鳥先輩の絵です。

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今見返すと和傘を差しているのがちょっと面白いですね。

1巻も購入できたのでやることもなくなり、暇になった私。チラッとゲッサンブースを覗きに戻りました。

横山先生は思っていたよりサインを頂きに来る人が多くてちょっと安心。中道先生はボードゲーム会の真っ最中でとてつもなく忙しそうです。

小川先生は…………?と思って辺りを見回すといらっしゃいません。そういえばさっきどこかにふらふらと向かわれたような……。

小川先生なりに用事でもあったのかな、もしかして向こうで開かれてるウテナの原画展を観に行かれたとか……と考えていると、後ろから市原編集長の声。

「あれ、小川先生は?……いない?どこ?」

振り返ると慌てて携帯を取り出される市原編集長。小川先生に電話をかけられている様子。

私の中で小川先生のふわふわした印象が更に強くなりました……。

そうこうしているうちにもうお昼。ポッポ街にあるラーメン屋さんで徳島ラーメンを頂き、南海ブックスで売られている他の漫画等も見て回っていたらもうサイン会直前になっていました。

 

7.サイン会

 

待機列に並んで、サイン会の開始を待ちます。始まるまではお会いしたら何を話そうかずっと考えていました。あんまり変なことは言えませんし、でも普通に楽しんでいますでは何か物足りない……。ああでもないここでもないと首をひねって悩んでいると、あっという間にサイン会開始の合図が。列が動き始めます。私は始めの方に位置していたので考えている時間はあまりありません。こうなったら腹を決めて今まで読みこんできた知識の中から比較的話しやすいものをぶつけてみることにしました。まぁこの判断が後々とんでもないことになっていくわけですが……。

大体一人1~3分ペースで列がはけていって、いよいよ私の版。サインの他、名前と一緒にキャラクターも一人描いてくれるとのことで私は大鳥先輩を選びました。理由は無難そうということと、小川先生が描きやすそうだからということからでした。特に後者が大きかったですね。私にとってはサイン会よりもある意味小川先生と話ができることの方が大きかったですから。

小川先生に単行本を渡すと、小川先生はサラサラと大鳥先輩を描き始めます。さて何から話そうか。前日に幾原監督と庵野監督のトークショーを観てきたとは言え、エヴァウテナのオマージュが~まで言い始めたら不味い人。なので、小ネタにしぼってこういうところが凄かったです!と喋ることにしました。

例えば、

・1巻45P4コマの四つん這いの生物は実は92P2コマ目の猫を暗がりにいるように描いたもので、広瀬くんの心情表現になっている。

とか、

・3巻表紙の背景は『とある飛行士の追憶』4巻の巻末に付いていた読み切り作品『ひとかどのまちかど』の背景をカラーにしたもの。

とか、色々話しました。

その中で、私はできるだけ読みこんだことを言ってみようと思いこんなことも言いました。今まで引っ張ってきましたが、これが問題の事件です。

「3巻135Pに出てきた藁人形って、1巻144Pの大鳥先輩の部屋の椅子の下にもありましたよね。あの頃からもう用意してたのは凄いなぁと驚きました!」

 ちょっとひとりぼっちの地球侵略電子書籍版で確認しましょう。3巻の藁人形はすぐわかります。では1巻は? 144Pと言いましたが当該ページはページ番号がふられていません。第3話「二人の交差点」より、広瀬くんが初めて大鳥先輩の秘密基地に入った見開きのページです。143Pから探すと良いでしょう。

さて、この見開き絵のどこに”藁人形”はあるのか?まず広瀬くんの制服、その上から4つ目のボタンに注目します。そこから右に水平に視線を動かしていくと、黒い椅子の右側のてすりを抜けていくはずです。そのまま行くと椅子の右側の奥下、紙袋の隣に上半身だけ椅子からはみ出た”藁人形らしき物体”が見える筈です。てっぺんを縛られた頭、同じく左腕、ほとんど隠れてよく見えない右腕、といった具合に、藁人形の上半身が顔を出しています。私はこのことを言っていたわけすね。

さて、私がそう言うと、今まで私の話を聞きながらもサインに集中されていた小川先生が口を開きました。

「実は、私3巻の文化祭のシーンで『とある飛行士の追憶』のサンタ・クルスを描いたんですよ。あんまりちっちゃく描きすぎて担当さんには分からないよって言われたんですが……w 良かったら探してみてください」

なんと!? 小川先生から小ネタを探してみなさいとのコメントを頂きました。私これにはびっくりしつつも「探してみます!」と即答。そんなことをしていたら私のサインが完成し、サイン会は無事終了しました。そうかー、やっぱり小川先生は自分から小ネタを色々盛り込んでたんだなぁと私ニコニコ。だが私が本当に気付くべきはそんなことではなかった……。

ともあれ、そのとき頂いたサインがこちらになります。

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8.さらば徳島、そして3巻のサンタ・クルス発見。

 

サイン会が終了すると、いよいよ徳島を離れる時間が近づいてきました。中道先生からも横道先生からも既にサインを頂きましたし、他のイベントに参加する時間の余裕もありません。最後はゲッサンブースをのんびり遠くから眺めた後、徳島駅に向かいました。

そこから先は乗り換えが大変で、6分、5分、4分と乗り換えの度に時間が減っていく地獄のデスレースでした。どれか一つでも逃したら日付が変わる前に東京に辿り着けないかもしれないとあって、大慌てでした。

東京へ向かう新幹線に乗り込むと、ようやく一息つける時間ができました。早速小川先生から宿題として出された「3巻のサンタ・クルス」を探すことにします。

探すこと15分。それらしきものを発見しました。単行本で確認してみましょう。3巻124P4コマ目です。こちらもページ番号がないので前後のページから探してください。青箱文化祭入り口の様子を描いたシーンですね。さて、注目すべきは机の上に置かれた「投票場」の看板。そのすぐ横に何やら小川先生のマスコットキャラクター「三牙犬」らしきキャラクターと男の子、その上に……ありました、飛行機らしき物体が。その大きさ、縦1㎜横3㎜。小さい。あまりにも小さい。しかしこの物体の他に飛行機の形を模したものは3巻の文化祭には登場しません。「小さすぎて~」という小川先生のコメントも合わせて考えると、これがサンタ・クルスと考えて間違いないでしょう。

「これは言われなきゃ分からないですよ……w」

と新幹線で呟く私。しかし、小川先生がこういった小ネタを先生自ら意図的に仕込まれているということが分かったのは個人的には収穫でした。帰宅したら自分でも探してみよう……そう思いつつ、東京に到着。マチアソビの旅は終了したのでした。

 

……いえ、まだすべてが終わったわけではなかったのです……。

話はここから1年ほど時間を進めることとなります。私は1年後に何と直面したのか。

 

9.1年越しに明らかになった驚愕の真実と、私の失敗。

 

それから1年後。私はSkypeTwitterのフォロワーさんとぼっち侵略についてあれこれと話していました。 ぼっち侵略も巻数が進み、6巻が発売された頃でした。

私は1年前のマチアソビのことについて話していました。トークショー、横山先生のサイン、中道先生とのガイスター勝負、小川先生とのサイン会……振り返れば色々思い出の尽きない2日間です。それなりに盛り上がっていました。

そんなときです。私はサイン会でのやり取りを話題にしました。3巻に出てきた藁人形が1巻にも出てきていたこと、それを凄いと言ったら小川先生に3巻のサンタ・クルスを探してみるよう勧められたこと。一番の収穫だったのでかなり饒舌になっていた記憶があります。

 

そのとき、フォロワーさんが、ぽつっと言いました。

 

「あれ、でもこの1巻の”藁人形”、よく見たら飛行機っぽく見えません?」

 

「…………ん?」

チラッと1巻144Pを見返します。よーく”藁人形らしきもの”に目を凝らします。

……頭のてっぺんを縛られていたように見えていた部分、これはよく見ると「4枚プロペラ」に見えます。藁の筋に見えた縦の細いラインは飛行機のカラーリングでしょうか?左腕の筋もこれは飛行機のフラップのようにも見えます。それらを踏まえて全体の形状を眺めると、なるほどこれは確かに飛行機です。

「あー、確かにそう見え……」

とまで言い返そうとしたところで、マチアソビのやり取りが頭の中をフラッシュバックします。

 

「3巻表紙の背景が~……」

「3巻の藁人形が1巻にも~……」

 

「3巻の文化祭のシーンで~……」

「あんまりちっちゃく描きすぎて~……」

 

ま、まさか……。

 

3巻を引っ掴みます。124Pを開いてあの小さいサンタ・クルスを確認。すぐに1巻144Pの”飛行機”を見直します。……間違いありません。

 

「これはサンタ・クルスだ!!」

 

私は愕然としました。私は間違っていたのです。そして小川先生はそのことに気付いていたのです。

 

1年前、あのやり取りの中で何故小川先生は3巻のサンタ・クルスを探すよう私に言ったのか。発言を一つずつ振り返ってみましょう。

 

まず私は最初に1巻の猫の小ネタが凄いと言いました。この時点で小川先生は私がそれなりに読みこんでいる作者だとは分かったはずです。次に3巻の表紙の話。ここで小川先生は私が『とある飛行士の追憶』も読んでいることを知ります。

問題はそこから先です。藁人形。本来ならサンタ・クルスであった筈のそれを私は藁人形と勘違いしていました。明らかなミスです。問題はそれをどう指摘するか。

小川先生は、ここまでのやり取りで私が

・ぼっち侵略を結構読みこんでおり、3巻まで所持している

・『とある飛行士の追憶』も読んでいる

・1巻のサンタ・クルスを藁人形と見間違えている

ことが分かっていました。そして3巻にはもう一つだけサンタ・クルスを小ネタとして描いています。

そこで小川先生は、

「一見小ネタの紹介に見せかけて3巻のサンタ・クルスを探させることで、遠回しに私が1巻のサンタ・クルスを藁人形と見間違えていることに気付かせようとした」のです。

 

ずっとサインを描き続けながら、一度も単行本を開かず、私の話を聞いただけで。

 

私は呆然としていました。作者の前で自分の勘違いを話した恥ずかしさや、それに1年気付かなかった失敗より、これだけのことを一瞬で為しえた小川先生の凄まじさの方に打ちのめされたのです。

 

ふわふわされた方などとんでもない。あのとき私の前にいらっしゃったのは、間違いなく『ひとりぼっちの地球侵略』の作者小川麻衣子先生だったのです。

 

10.終わりに

その真実に気付かされてから更に1年以上経った今、私は当時を振り返りつつこのブログを書いています。この時期を選んだ理由は、『ツール・ド・本屋さん』3巻が発売され、当時の状況を詳しく(私ごと)振り返ることができたこと、そして1年経って自分の間違いも落ち着いて見つめ直す余裕ができたからです。勿論、今開催されている『ひとりぼっちの地球侵略』1~3巻の電子書籍版無料配信の宣伝という目的もありますが。ここまで読んで興味を持たれた方は、1巻だけで良いので是非読んでみてくださいね。

こうして全て書き終えて振り返ると、何から何まで本当に濃い2日間だったなぁと思います(10000文字以上書いてますし……)。実際に作品を作られているクリエイター本人にお会いするというのは、作品そのものを楽しむという行為とはまた違った面白さがあり、とても刺激になります。皆さんもこの先自分の好きな作家さんがサイン会やトークショー等に参加された際は、躊躇わず飛び込んでみると良いと思います。新たな作品を見つけるとっかかりができたり、好きな作品の新たな一面を見つけるきっかけになるかもしれません。

ではでは。