ぼっちQ&A!~小川麻衣子作品感想ブログ~

『ひとりぼっちの地球侵略』や『魚の見る夢』等、漫画家の小川麻衣子先生の作品について感想を綴ったブログです。

ひとりぼっちの地球侵略1巻の1話と2話について、細かい部分に注目してみた。

 今回は、ぼっち侵略1巻の1話と2話における細かい部分の演出や小ネタに注目してみました。前回は1話と2話の重要な部分をおさらいしましたが、今回はもっと軽い感じにしたいと思います。1巻にどれだけのネタが詰まっているのか、のんびりまったり見ていきましょう。

 今回も(巻数:ページ:コマ数)で参照している箇所を紹介していくので、単行本で確認しながらお読みください。それでは参りましょう。

・二人の身長

 (1:4~5:1)冒頭の見開き絵の方を観ていきましょう。単行本では白黒ですが、ゲッサンの公式HPではカラーの絵を見られます。意味ありげな絵やら言葉やらが大量にちりばめられています。ぼっち侵略は基本こうして大量の情報をバラバラに分解してあちこちに置いていくので、こういう細かい所にも気を配っておくと思わぬ発見をすることができます。例えば広瀬君と大鳥先輩の頭の左側に3桁の数字があります。これは二人の身長です(笑)。ちゃんと背が低い広瀬くんの方は「158…」とテンション低めで、大鳥先輩は「164!!!」なんて元気に書いてあります。単行本の絵で左端に見切れているのはこの話に登場したゴズ星系の宇宙人ですね。公式HPの方では更に全体を見ることができます。その他にも色々怪しい絵があるのですが、私が分かるものではこれが限界でした。もしかしたら他にも何かあるかもしれません。

・大鳥先輩の仮面

 初登場時に大鳥先輩が付けている仮面についてです。広瀬くんを高校で待ち構えていたときは大鳥先輩は仮面をつけていますが、(1:12:3)広瀬くんの心臓が取り出せないと分かると彼女は広瀬くんの目の前で仮面を外して見せます。(1:30:1)ここでの仮面の使い方が良いんです。単に広瀬くんを殺すことだけが目的のときは仮面を付けさせて二人の距離感を遠くし、正面から話し合うときは仮面を外して大鳥先輩の顔を見せ、ぐっと距離感を近くする。大鳥先輩の立ち回り、心情の違いを仮面一つで表しているのは素敵です。

・胸にキス

 (1:32:1)広瀬君、大鳥先輩にぐっと迫られて(というか密着しちゃって)ドキドキしています。でも良く見ると口づけしているのは心臓の部分ですし、その前に払いのけようとした広瀬君の腕を思い切り押さえてでもこの行動に出ているので、(1:31:5)先輩にとってはあくま心臓が大事で広瀬くんは二の次なのでしょう。こういう細かい部分にも大鳥先輩のスタンスが現れていて良いですね。

・猫と情景描写

(1:45:4)こんなところに、茂みの影に潜む四つん這いの何かがいます。これ、実は猫なんです。同じ猫が2話にも登場しています。(1:94:1)なんで同じ猫をこんな風に描き分けているのかというと、広瀬くんの心情をこの猫で表現しているからなのです。この猫、どちらも上から見た構図になっていて、その次のコマに広瀬くんが登場します。これでこの猫が広瀬くんから見た猫であることがまず分かります。最初の猫を見たあと、広瀬くんはゴズ星系の宇宙人に襲われます。直前に傷が治った様子を間近で見てしまったこともあって、嫌な予感を覚えている広瀬くんは只の猫でもこれほど不気味に見えているのです。しかしその危機も去り、大鳥先輩とも打ち解けた後は猫が暗がりから出てきてハッキリ見えるようになっています。広瀬くんが安心した証とも言えるでしょう。

 このようにたった2コマの猫でもって広瀬くんの心情を表現しているのですが、ぼっち侵略は月刊連載なのでこの間が一ヶ月空いているんです。今だからこそ単行本で分かりやすいですが、当時ゲッサンを読んでいてこれに気付くのは大変だったと思います。本当に手の込んだ良い演出だと思います。

・せんぱいの、ぱんつがみえない

 おおとりせんぱいのぱんつがみえません。(1:62:3)みえてもおかしくないのにみえません。ゲッサンで連載されている『ツール・ド・本屋さん』では小川先生がこのカットでパンツを描かれるかどうか迷った末にやめたという話が載っていましたので、そういうことなのでしょう。あぁ……さくひんのえろすのどあいとしてはみえないぐらいがちょうどいいのですが……しかし……ぱんつが……みえないのは……やっぱり……かなしい……。

・ゴズ星系の宇宙人

 コイツのデザインに注目してみましょう。この宇宙人、攻撃方法が高速回転して体当たりか腕で掴んで叩きつけるぐらいしかありません。(1:71:1)(1:74:1~3)大鳥先輩の言う通り偵察としてもなんでこんなに弱っちいのでしょう。

 これについて理由をあれこれ考えたのですが、結局は「彼は偵察、情報収集用の侵略兵器であって、戦闘用ではなかった」という結論に落ち着きました。付いている装備の用途から推測すれば、侵略する星の環境や物質、生物等を目で観察。回収する必要が生じれば手で拾い、口の中で(そういえばあの中どうなっているんでしょう?)保管し帰還することが主な役割だったのではないでしょうか。もしかしたら広瀬君もあそこで呑みこまれていたかもしれませんね。

 ・服が違う!?

 1話と2話のラストにおける大鳥先輩の服装を見比べてみましょう。一見同じ制服ですが、よく見ると着ている服が違います。1話ではリボンも校章もボタンもついていないのですが、(1:13:2)2話のラストでは全部付いて制服らしくなっています。(1:102:1)扉絵(連載当時は3話の扉絵)ではボタンもリボンも校章もついていますが、次の見開き絵では1話の方の何もない服です。これ、どういう服なんでしょう。3話でもなにもついていない服を着ている描写があるので、(1:147:1)学校の制服の一パターンだと思うのですが……。こういう制服について心当たりがある方がいらっしゃっいましたら教えて頂けると幸いです。

 

 以上、1、2話の細かい演出や小ネタの話でした。これ以外にも何か見つかるかもしれないので、その時はまたここに追加しておこうと思います。ではでは。