ぼっちQ&A!~小川麻衣子作品感想ブログ~

『ひとりぼっちの地球侵略』や『魚の見る夢』等、漫画家の小川麻衣子先生の作品について感想を綴ったブログです。

生存報告。 ~祝! オルベリオ語解読記念によせて~

こんにちは、さいむです。

まずは何も言わず、黙ってこちらをご覧ください。

 

素晴らしい……!!!

 

オルベリオ語がある程度まで解読可能だったことにも驚きですが、それ対してここまで労力を割いて可能な限りまで迫ったことに関して、心の底から敬意を表します。この手のページ引用は私のブログでは行わない方針なので私が万が一この可能性に思い立ってもここまでの作業に挑むことはなかったでしょうし、そういう意味でも本当に感動しています。いいことだ……ぼっち侵略の評価が進むぞ……!

 

と、言うわけで。折角なので、これを土台として作品に関して新たに発見できるものがないか、他の方のツイートも幾つか引用しつつ考えていきたいと思います。

 

とは言え、基本的にはおこめさんが大部分を作品内容とも絡めて考えていらっしゃるので、然程あれこれ考える余地はありません。4巻のエーデルワイス及びきらきら星の引用、及び2巻について多少思うことがあるぐらいのものです。とは言えこの辺りの確度を上げていかなければおこめさんの労力に報いることもできませんし、早速4巻から見ていきましょう。

 

まずは、エーデルワイスの引用から。これについては他の方のツイートを引用して話していきたいと思います。

エーデルワイスに関しては基本的にこれでまず間違いないと思います。というのも、4巻には他にも花言葉をネタとして仕込んでいる部分があるからです。

それが第18話「スノードロップ」ですね。この花は実際に18話の中でも登場していますが、花言葉は「希望」「慰め」です(「死」というものもあると以前ブログで解説した記憶がありますが、これに関しては誤って広がったものという話です)。第18話の内容、並びに大鳥先輩の名前にも沿ったものになっています。エーデルワイスに関してもこれと同様、広瀬くんとの「大切な思い出」に向けた歌であると考えていいでしょう。

問題は次のきらきら星についてです。何故きらきら星なのか、ということについてはおこめさんも悩んでいたそうで、色々と考察をしていました。港を沈める(閉じる)ための子守歌という仮説に落ち着いたようですが、それでもあまり納得がいっていなかったようです。

確かにエーデルワイスと切り分けて突然きらきら星が出てきたのは意外でしたし、「分かってる…取り返しがつかない…壊れた人は治らない…せめて……」という台詞の後に発動した魔法の効果が港の閉鎖というのも、一見してきらきら星の歌詞と一致していないように思えます。ただ、ここに関しては発想を逆転させればいいのではないかと私は考えました。

つまるところ、歌詞の内容と具体的な効果がここでは一致している必要が必ずしもないのではないか、ということです。

例えば大鳥先輩が広瀬くんの死を目の当たりにしたショックで暴走した際に引用されている『Gloomy Sunday』ですが、これは大鳥先輩の心情を表現したものとしては的確であるものの、その末に暴走する、という部分までは歌とは一致しません。エーデルワイスに関しても、この場合の大切な思い出とは広瀬くんとものであるにもかかわらず、その効果は敵船団の消滅、並びに松横市の修復でした。歌そのものが大鳥先輩の心情に沿ったものであることは間違いないにせよ、それによって発動する効果はそれとは微妙にずれている可能性があるのです。

であるならば、大鳥先輩が港を閉じる際にきらきら星を魔法で引用した事に関しても、魔法の効果が「港の閉鎖」である一方で、そこに込めた思いが「自分の過ちで失われた人々の命に対する鎮魂・弔い・謝罪」であると考えることもできなくはないわけです。

で、きらきら星という童謡――せいぜい解釈するとしても子守歌――が人々の弔いになるのか? という話ですが、これに関しては材料が幾つかそろっています。

例えば直接引用されている『星の王子さま』。作中で王子さまは自分の星に帰るためにヘビに噛まれ、肉体を失って魂だけが星へと帰って行きました。主人公の「僕」は肉体が消え失せてしまった王子さまのことを想い、空の星々を見上げながらも悲しまずにはいられませんでした。ここの解釈も諸説あるので迂闊なことは言えませんが、あるいは大切な人を失った悲しみを、夜空の星々のどれかに彼らの魂が宿っているなら、という形で慰め、死者を弔っているという方向で解釈するなら方向性は一致します。

また、大鳥先輩が4巻187Pでプラネタリウムを眺めながら「あれが双子座だよー」と言っている場面もあります。ここもしっかりネタが仕込まれており、双子座の神話カストルポルックスの内容に大鳥先輩と広瀬くんが重なっていると解釈できます。ざっくり解説すると、不死身でない兄カストルの死を悲しんだ妹ポルックスが、自らの不死を分かち合うことで兄を復活させるようにゼウスに頼み、それを聞き入れたゼウスが二人を天に上げ双子座にした、というのが双子座の神話ですが、これが4巻の大鳥先輩と広瀬くんの在り方に重なっているわけです。

ここでゼウスが二人を星として天に上げていることに注目すると、『星の王子さま』同様、失われた命を弔い悼み続けるために星としたという方向性がやはり見えてきます。であるならば、きらきら星は子守歌として考えるのがせいぜいの童謡でありながら、一方で失われた人々を悼む歌と解釈することも可能になるわけです。

前後の台詞と組み合わせて考えると、死んでしまった人は生き返らない。だからせめて彼らを悼みつつ、発端となってしまった港を自らの手で封鎖しよう、といった具合でしょうか。おおよそこんな感じの筈です。 

 

4巻に関してはこんなところでしょうか。正直予定していたよりも書きすぎているので次の2巻はちゃっちゃと終わらせましょう。

 

要点はここです。

2巻23P「抽象的な意識を無理矢理言語に替えるためには、既存のもので補う行為では、オリジナルの本質を全て表しきれないものよ。そこで作られた言葉が新しい意識として周知されるのがこの魔法にとっては危険なの。」

まぁここに限らず2巻第5話では魔法の説明がずっと行われているわけですが、その後大きく活かされることも然程無かった魔法の性質の説明を、何故ここでこうも回りくどくやっていのか、ぼっち侵略読者の中では大きな謎の一つになっていました。ある人は物語の展開に一致するものがあると言い、またある人(というか私)は作中のオマージュにばかりあまり注目するなというメッセージだと解釈し……てな感じできちんとした答えが出ないままでした。

……もうお分かりかと思いますが、続く第6話、2巻36P。リコの周辺に纏わり付く謎の文字列こそ、そうぼっち侵略においてオルベリオ語が初登場した瞬間です。

つまり、この妙に長かった大鳥先輩の語りは…………

小川先生の宣戦布告だったってことでいいんじゃないですかねぇ!?(半ギレ)

そりゃー危険でしょうなぁー! ネタがバレたら英語とローマ字ですもんなぁ! 魔法をアルファベットとして置き換えるのが危険ってんなもん知るかぁーーーーー!

第一おこめさんが最初のアルファベットを解読できたのは十五巻からですよ!? 最終刊ですよ!? しかもまだ完全な置き換えはできてないんですよ!? 改めてどこまで読者を置いてきぼりにしたら気が済むんですか!? 恐れ知らずだったんですか!? 連載中少しでも不安に思わなかった、なんてことは流石にないでしょうがやっぱりこの人頭のネジがぶっ飛んでるんだよぉ!!!!!!  ダァ!!!!!!(謎の雄叫び)

 

……まぁ、ともあれ、2巻の魔法謎語り問題に関してはこれで取りあえず解決って事でいんじゃないですかね……実際作品全体の方針やオマージュへの意識もなかったわけじゃないかもしれませんが、それが含まれていたとしても基本はこのオルベリオ語について暗に言及……予告していたものだとしておいて構わないでしょう。はい。

 

本記事は取りあえず以上となります。またオルベリオ語に関して発見があったら追記しようと思います。最後におこめさんの発見と努力に最大限の賛辞を送りつつ、本記事は終わりにしたいと思います。

ではでは。

 

 

P.S

おこめさんへ。

確かに私スマブラは大分強くなりましたが別にキャラ別の最強ではありません。まぁプロゲーマーにもオンラインで時々勝てるようになりましたし、恐らく同じキャラ使いで現時点最強の一人である方にも「強い」と言っていただけたのでそこそこは強いのでしょうが、まぁ国内の同キャラ内ランキング(そんなものはないが)で50位以内に入っていればいい方だと思います。

あと私の使ってるキャラは正直かなり嫌われてます。あんまり宣伝になってないかも……。

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現時点で世界戦闘力はこのくらい。どうだろう……微妙……。