時緒、かける少女(5)

(5) 「どうして逃げたの、お姉ちゃん」 私は最初と同じ真っ暗闇の中に立っていた。 目の前に、小さな大鳥先輩がいる。 小さな女の子とは思えないような恐ろしい、憤怒の表情だ。 「逃げなければあそこにいられたのに! 大鳥希よりも先に広瀬岬一が欲しくないの!?」 「ごめんね。私、きっかけを捨てられないの」 怖い…